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D-plusのスタッフ(自称kanop)の勝手気ままなひとり言。お店のこと、猫ばなし、庭に咲いた花のことなど。お付き合いいただけたら幸せです。


by d-plus55
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森田たま女史と銘仙

森田たま女史と銘仙_b0162790_219678.jpg


      休日。
      ゴロリとひっくり返って
      見上げた本棚に森田たま女史の「きもの随筆」を
      見つけました。
      昭和27年初版の古色を帯びた本。

      つん読、乱読の悲しき身の上、読んだ記憶こそあるものの、
      内容までは思い出せるはずもなく・・・。

      何気なく頁を繰るうちに、
      日常を綴る文章の巧みさと、
      きものを愛する人の着物に対する深い思いに、
      いつしか引きつけられてしまうこととなりました。
      着物のテキストからは到底学び得ない
      宝ものが凝縮されているような。
      これを見過ごしてはもったいない。

      どうやら何事にもその人なりの適齢期というものがあるらしく、
      この本に関しては遅れ馳せながら
      今が適齢期といったところでしょうか。

      藤田嗣治画伯が自宅の囲炉裏端に
      紺絣を小さな座布団に仕立てて置いたのが
      町の居酒屋、喫茶店などに広まったとの一節。
      最近でも甘味処などで時折見かける紺絣のオザブ・・・。
      藤田画伯がルーツとは。
      思いもよらず、なにやら不思議。

      さて。
      長くなりましたが、このへんで銘仙のことなど。
      縮緬、綸子など素敵な着物地は数あれど。
      銘仙はどこか懐かしい特別なもの。
      「きもの随筆」にもお洒落な女学生の着物として記されています。

      「銘仙の着物に海老茶の袴、千代田草履に白足袋くっきり。」
      東京の女学生は、
      大正から昭和にかけてのファッションリーダー的な存在。

森田たま女史と銘仙_b0162790_310271.jpg

森田たま女史と銘仙_b0162790_315532.jpg


      手元の銘仙をかき回してみたものの、
      みな昭和のもの、戦後のものばかり。
      森田女史の銘仙に出会うことは最早難しいのかも知れません。

      しかしながら、普段着の
      ちょっとキッチュな、
      その精一杯なお洒落心には捨て難い魅力を感じます。
by d-plus55 | 2010-07-09 03:26